大阪府 吹田市 小児科・アレルギー科 阪急北千里駅 【ほそいがく こども診療所】  院長:細井 岳(ほそい がく)
小児科・アレルギー科
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各種ワクチンについて



| ヒブワクチン | 肺炎球菌ワクチン | B型肝炎ウィルスワクチン | ロタウィルスワクチン |
| 四種混合ワクチン | BCGワクチン | MRワクチン | 水痘ワクチン |
| おたふくかぜ | 日本脳炎 | 子宮頸がん予防ワクチン |
インフルエンザワクチン | 髄膜炎菌ワクチン New! |
ヒブワクチン(不活化ワクチン、定期接種)

インフルエンザ菌の中でもb型インフルエンザ菌(Hib)の感染症は喉頭蓋炎、化膿性関節炎、敗血症、髄膜炎、などの侵襲性感染症(重症感染症)を引き起こします。Hibは名前は同じですが、冬場に流行るインフルエンザ(これはウィルス)とは全く別の細菌です。Hibは人の鼻咽腔ではよくみられる細菌であり、特に保育園などの集団生活をしている子どもの鼻腔には早期から存在します。このHibが時に血液中に入り、髄膜炎、敗血症、喉頭蓋炎、肺炎、関節炎、蜂巣炎、骨髄炎などの、生命を脅かすような感染症を引き起こします。日本ではHib髄膜炎の発症者は年間600人と言われていますが、致死率5%、難聴、てんかんなどの後遺症が残る例が20%ほどで、発症するととても危険な病気です。また、初期症状は普通のかぜと同様であり、早期診断が難しく、抗生剤への耐性化も進んでいるので、治療が難しい病気です。ワクチンにより抗体の上昇は99%の例で認められ、欧米の研究によれば、ワクチン導入によって、Hibによる重症感染症はワクチン導入前の1〜2%まで減少しています。
※2024年4月からは四種混合(DPT-IPV)とヒブワクチンを混合した四種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が導入されました。2024年2月以降に生まれた赤ちゃんは原則として五種混合ワクチンを接種します。
2024年3月までにヒブワクチンを接種していたら、残りの必要回数も原則としてヒブワクチンを接種します。



接種スケジュール
生後2ヶ月から小児用肺炎球菌ワクチンと同時接種で開始して、3ヶ月からは小児用肺炎球菌ワクチン、四種混合(DPT-IPV)ワクチンとの同時接種で4〜5ヶ月までに3回終わるのが、理想的です。7ヶ月以上開けて約一年後に追加接種をし、計4回で接種完了です。同時接種を避けたい場合は、毎週各種ワクチン接種のために医療機関に通わなければなりませんが、一種類ずつの接種も可能です。遅く開始した場合は接種回数が変わりますが、5歳までに接種することが必要です。

副反応
副反応は局所の発赤腫脹などが20〜40%、発熱(2.5%)、不機嫌(15%)、下痢(8%)などが接種後2日ぐらいまでに起こりますが、放っておいても3日ほどで症状は消えます。

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肺炎球菌ワクチン(不活化ワクチン、定期接種)

日本でも2010年2月からやっと利用できるようになったワクチンです。世界中で日本は100番目に承認された国です。既に世界各国では多くの子供たちに接種されていて安全性も効果も証明されています。
肺炎球菌は名前のとおり、肺炎の原因になる細菌です。ほかにも、細菌性髄膜炎、菌血症、中耳炎といった病気をおこします。肺炎球菌は決してめずらしい細菌ではなく、そこら中にいる菌で、子どもの多くが鼻の奥や気道に菌を持って(保菌)います。保菌しているだけでは問題ありませんが、小さな子どもは肺炎球菌に対する免疫が成立しにくく、感冒などのウィルス感染時に比較的簡単に肺炎球菌による感染症になってしまいます。
中耳炎や肺炎のほかにも、重症感染症である菌血症(血液の中に入り込む)や髄膜炎(脳や脊髄を覆っている髄膜の中に入りこむ)などの原因になります。これらの病気は、もちろんほかの細菌やウイルスが原因でおこることもありますが、菌血症では80%(1番目)、肺炎の場合は30%(1番目)、細菌性髄膜炎では20〜30%(2番目)、細菌性の中耳炎の場合は30%(2番目)で肺炎球菌が原因となっています。これまでの肺炎球菌ワクチンは免疫機能の未熟な小児では予防効果を期待できませんでしたが、2010年2月に接種が開始されたワクチンは小児でも十分な免疫を得られるように工夫されています。90種類以上ある肺炎球菌のうちの13種類に対して免疫を得ることができ、これで肺炎球菌による感染症の90%程度はカバーできます。
※2024年4月から15価ワクチンが導入され、さらに予防効果が高まっています。
※2024年10月から20価ワクチン(肺炎球菌の20種類に対して免疫がつく)が導入されます。10月以降に一回目の肺炎球菌ワクチンを接種する場合は、原則20価ワクチンを接種します。


接種スケジュール
生後2ヶ月からヒブワクチンと同時接種で開始して、3ヶ月からはヒブワクチン、四種混合(DPT-IPV)ワクチンとの同時接種で4〜5ヶ月までに終わるのが、理想的です。1歳過ぎてから追加接種を1回行います。年齢によって接種回数は少なくなります。ときに接種回数を減らすため、お子さんが大きくなってから接種したいと希望される保護者の方がおられますが、重症感染症になりやすい時期に早期接種することに意味があるのであって時期を遅らせるのは実はナンセンスな考え方です。

副反応
四種混合ワクチンにくらべるとやや高い頻度で起こります。局所の発赤腫脹などが70〜80%、発熱(20〜25%)、不機嫌、傾眠傾向(15〜20%)などが接種後2日ぐらいまでに起こりますが、放っておいても数日ほどで症状は消えます。

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B型肝炎ウィルス(不活化ワクチン、任意接種)


B型肝炎はウィルスを含む血液あるいは血液成分を介して非経口的に感染します。母親がB型肝炎ウィルス保有者(キャリア)である場合は妊娠中あるいは出産時に母子感染が起こります。血液に接する機会の多い医療従事者なども感染する可能性がありますが、性感染症のひとつとしても重要視されております。また、原因不明の感染もあり、日常生活の中でも感染が起こり、涙や唾液も感染源になることが証明されています。WHOは全ての子供たちに接種すべきワクチンとして推奨しています。B型肝炎ウィルスが感染すると小児は成人に比べキャリアになりやすく、将来、慢性肝炎、肝細胞がん、肝硬変を発症します。世界中には日本よりもB型肝炎のキャリアの多い国もたくさんありますので、接種することをお勧めします。定期接種は残念ながら2016年4月以降に生まれた児が対象ですが、対象外の子供達も、思春期の年長児も含めて接種することが強く勧められています。


接種スケジュール
通常は0.5mlを4週間隔で2回、その後4〜5ヶ月後にさらに1回の計3回接種します。ただし、10歳未満の小児では1回量は0.25mlとなります。3回の接種でHBs抗体が獲得されていない場合はさらに追加接種します。
定期接種の場合は1歳までに、3回、1回目と2回目の間は4週間以上、1回目と3回目の間は20週(5ヶ月)以上の間隔を空けて接種します。

副反応
他のワクチンに比べても副反応は軽微であり、10%前後に軽度の倦怠感、頭痛、局所の発赤、腫脹、疼痛などが認められています。

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インフルエンザワクチン

ロタウィルス感染症は、日本では毎年冬場に流行しますが、最近は3月から4月に流行のピークが移っており、春先に流行すると言うべきかもしれません。症状はいわゆる胃腸炎として発症します。多くは突然の嘔吐、発熱に続き、水様下痢を起こします。典型的な場合は酸臭のする白っぽい便になります。回復には一週間ほどかかります。時に、脱水、けいれん、肝機能障害、腎不全、脳炎、脳症などを合併します。脳炎脳症の原因としては3番目に多いと言われています(1番目はインフルエンザ)。途上国では年間45万人の5歳未満の子供達が、このウィルスが原因で死亡していると報告されています。5歳までに、ほとんどの児がこのウィルスに感染しますが、特に生後3ヶ月ぐらいから2歳までの乳幼児が重症化しやすくなります。兄弟が保育園などの集団生活をしている場合は注意が必要です。WHOでは世界中のこどもたちが接種すべきワクチンの一つとして推奨しています。
日本では外来受診のロタウィルス腸炎のこどもの15人に1人が入院すると推計されています。このワクチンでは入院が必要な重症ロタウィルス胃腸炎の90%程度を減らすことができます。現在日本では一番流行しやすいG1というタイプのロタウィルスを弱毒化した1価のロタリックス(交差反応性中和抗体の産生により、他のタイプにも有効と言われている。)とその他の流行タイプも加え5種類の弱毒化ロタウィルスを含む5価のロタテックが利用できます。ロタウィルスによる重症下痢の発症予防という観点では、どちらも同等の効果が報告されています。予防効果の持続はロタリックスは少なくとも3年間、ロタテックは7歳までと、海外の臨床研究で示されています。
※2020年10月より定期接種となりました。対象は2020年8月1日以降生まれの児です。


接種スケジュール

生後6週(生後42日)から遅くともロタリックスは生後24週(生後168日)までに、ロタテックは生後32週(生後224日)までに接種を完了します。シロップ状の飲む生ワクチンです。少なくとも4週間の間隔をおいてロタリックスは2回、ロタテックは3回接種することが推奨されています。どちらのワクチンも接種期間を過ぎると接種することはできません。この時期に接種すべきワクチンは多いので、ほかのワクチンとの同時接種を考えて、生後2か月からの接種開始がお勧めです。副反応である腸重積症が起こりにくいように、初回接種は遅くとも生後14週6日までに受けることが推奨されています。



副反応

2種のワクチンとも、不機嫌(8%)、下痢(3.5-5.5%)、嘔吐(4.2%)と報告されています。他に腸重積症(こどもに多い腸閉塞の一種、血便、腹痛などの症状あり)の発症が増えることが懸念されており、腸重積症が起こりにくい生後24週あるいは生後32週までという低い年齢で接種を完了するように求められています。


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四種混合ワクチン(DPT-IPV: ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ)/五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)

ジフテリア(diphtheria):
ジフテリア菌による感染症で呼吸困難や気道閉塞が起こることもあり、さらに菌から産生された毒素による心筋炎などによる突然死もあり得ます。非常に危険で、致死率5〜10%と言われています。治療も非常に困難です。幸い、1999年を最後に日本では発生していません。

百日咳(pertussis):
百日咳菌の飛沫感染でおこる感染症で、かぜの様な症状から特有の咳発作(百日咳菌の出す毒素による)を起こすようになり、無治療であれば、症状がなくなるまで2ヶ月近くかかります。母親由来の移行抗体は発病阻止に十分ではなく、乳児早期から感染し、乳児では無呼吸発作をおこし、時に突然死する可能性もあります。日本でも百日咳の報告数は近年増加傾向にあり、2008年は6000名以上の報告がありました。近年の傾向は、年長者の百日咳が乳幼児への感染源になっていることで、20歳以上の患者数は全患者の40%近いとの報告もあります。特に乳児期早期からの予防接種が大切です。(3ヶ月過ぎたらなるべく早く)

破傷風(tetanus):
破傷風菌の感染により産生される毒素により発病します。麻痺が特徴で嚥下障害や呼吸筋麻痺を生じ、今でも致命率は20〜50%に達するとされ非常に危険な感染症です。破傷風は土壌中にいるので野外でのけがの機会が増えるまでに予防接種が必要です。
現在の四種混合ワクチンは過去の反省も含め、非常に安全なものになっています。特に、百日咳の全菌体ワクチンが以前は使われていましたが、1981年から無細胞ワクチンが使用され、安全性は飛躍的に向上しています。抗体陽性率は少なくともI期の2回が終了すれば、ジフテリア、破傷風は100%、百日咳は毒素に対する抗体が85%程度、菌体に対する抗体は、ほぼ100%です。

ポリオ(poliomyelitis):
ポリオは「小児マヒ」とも言われており、四肢に麻痺を起こすウィルスです。実は感染者のほとんどが無症状の不顕性感染型で、麻痺の発生率は多くても2%程度と言われています。日本でもかつては大流行をしていましたが、ポリオ生ワクチンが導入され1980年以降患者発生はなく、ポリオは根絶されています。しかし、世界的には完全に根絶されたわけではないので、ポリオワクチンの接種は続いています。特に、インド、アフリカ、パキスタンなどではいまだにポリオの常在国で患者の発生が報告されています。
※2012年9月から日本でもポリオ・ワクチンは生ワクチンから不活化ワクチンに全面的に変更になりました。
※2024年4月から四種混合(DPT-IPV)とヒブワクチンを混合した五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)が導入されました。これにともない、ヒブワクチンの接種スケジュールは4種混合と同じになりました。(4種混合も5種混合も同じスケジュール)


接種スケジュール(標準)
I期(生後2ヶ月から7歳6ヶ月までの間に4回接種)
初回免疫:生後2ヶ月から3〜8週の間隔をおいて3回接種
追加接種:初回免疫終了後(つまり初回の3回目のワクチンから)1年から1年半後に1回接種します。
II期(DT): 百日咳を除いたDTワクチンを11歳以上、13歳未満の間に1回接種します。
※2023年4月から4種混合ワクチンも生後2ヶ月から接種可能となりました。もちろんこれまで通り生後3ヶ月からでも接種できますが、生後2ヶ月から他のワクチンと同時接種することで来院回数を減らせるというメリットがあります。

副反応
局所の発赤、腫脹、疼痛、硬結などが一番の問題になります。接種回数が増えるほど、その頻度は高くなり、初回の1回目で9%、追加接種では16%にみられると言われています。発赤、腫脹などは数日で治まりますが、硬結は数ヶ月続くことがあります。発熱も接種回数がふえるほど、頻度が高くなり、初回1回目で1〜2%、追加接種で3〜4%と報告されています。
※ポリオの生ワクチンで問題となった、ワクチンに関連した弛緩性の麻痺の副反応は、現在利用できる不活化ポリオワクチン(四種混合ワクチンも単独ポリオワクチンも)では心配なくなりました。また、経口生ワクチンではなくなったので、便への排泄の心配もありません。

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BCGワクチン(生ワクチン、定期接種)

結核菌の飛沫感染によって感染します。結核は治療に時間がかかり、多剤耐性菌も出現し罹ると厄介な感染症です。日本では年間25000名ほどが新たに結核と登録され、約2000名が毎年結核で亡くなっています。世界中でもいまだに結核患者数は多く、毎年200万人の命が奪われていると報告されています。インド、中国、東南アジア、アフリカでの発生の報告が特に多く、注意が必要です。カナダ、アメリカなどの先進国では結核が減少しておりますが、日本の結核発生率は高く、それらの国の4-5倍と言われています。BCGワクチンは牛型結核菌を弱毒化したもので、乳幼児の結核菌による髄膜炎や粟粒結核(重症の肺結核)を予防することができ、発症の機会も減らすことができます。効果は10年以上続くと言われていますが、接種後年数を経るほど低下していきます。成人では発病予防効果は弱く50%程度です。4歳以下の結核は時に致死的となるため、日本のようにいまだ蔓延している国では、接種が必要です。


接種スケジュール
生後5ヶ月から生後8ヶ月の間に接種するのが標準です。一歳を過ぎると任意接種扱いとなります。

副反応
接種局所の反応は接種後1ヶ月以内に接種部位の発赤、腫脹、かさぶた、反応が強い場合は膿んだようになりますが、だんだん、かさぶたになり、3ヶ月程度で消えます。時に3ヶ月以上乾かずに、潰瘍化することがありますが、このような場合は、別の細菌の感染も考えられますので、医療機関への受診が必要です。
接種した側(通常は左側)の脇の下のリンパ節が大きくなることもあります(約1%)。放置していても6ヶ月程度で自然に小さくなります。接種後の発熱の副反応はほとんどありません。
免疫不全の児に接種した場合は、生ワクチンですから、全身へのBCG感染の危険があります。そのため、重症の免疫不全ではないことの確認ができる3ヶ月以降に接種することになっています。(国によっては、生まれてすぐに接種する国もある。)もちろん、生後3ヶ月以降に免疫不全と診断されることもありますが、先に記したようにBCG接種の目的は乳幼児期の重症結核の予防ですから、あまりにも遅らせることは接種目的から勧められません。
また、BCG接種後の骨炎、骨髄炎の発症がBCGの生後早期の接種と関係あるのでは?という懸念もあり、推奨される接種時期が、少し遅めに変更となりました。

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MRワクチン(生ワクチン、定期接種)

麻疹:
はしかとも呼ばれています。麻疹ウィルスによる感染症で飛沫感染だけでなく、空気感染もあるため極めて感染力が強く、予防接種以外での感染阻止は難しい感染症です。感染すると免疫状態も悪くなるため、細菌感染などの二次感染の合併も多く、致死的になることもあります。合併症は肺炎、脳炎、腸炎、中耳炎など約30%の麻疹患者さんにみられ、日本での入院率も平均40%と言われています。死亡率は0.1〜0.2%です。私も何人かの麻疹肺炎の患者さんが亡くなられたのを実際経験しております。はしかなど罹った方が良いとの意見も聞きますが、罹患すれば、死亡することもあり得ることを知って下さい。また、はしかに罹ったあと7〜10年後に亜急性硬化性全脳炎の発症もあります。徐々に知的障害が進行し、やがて寝たきりの状態になってしまいます。発生頻度としては麻疹患者の10万人に1人程度と低いですが、危険な合併症です。世界では年間80万人ほどが麻疹により死亡しています。日本では2008年にはまだ1万人ほどの麻疹の発生が報告されています。95%以上の方がワクチン接種をすれば、麻疹の発生は抑えられるとされていますが、現在の接種率は80%台と低い水準です。日本では、最近でも麻疹の大流行があり、1回接種では十分免疫がつかないことが2〜4%あること、接種後5年以上経過すると抗体がだんだんと低下することなどから、2006年から2回接種となりました。

風疹:
風疹は突然の発疹、発熱、頸部リンパ節腫脹、関節痛などをみとめ、3日ほどで軽快します。一般に症状は軽くて、後遺症などはほとんどありませんが、時に血小板減少性紫斑病、脳炎などの合併症が1/2000〜5000ぐらいの頻度で起こります。特に問題になるのは、妊娠初期に風疹にかかることで、胎盤を通して胎児に風疹ウィルスが感染して、生まれてくる赤ちゃんに障害(白内障、難聴、精神遅滞)がおこる先天性風疹症候群が起こる可能性が高いことです。ワクチン接種後でも約5%の人は抗体が陰性ですが、2回目の接種でほぼ100%抗体獲得が可能です。


接種スケジュール
2006年からI期が生後12〜24ヶ月未満のこどもに1回、II期が5歳以上7歳未満(小学校就学前の1年間)に1回接種が標準となりました。
いろいろな事情で2回接種できていない場合は、費用はかかりますが、2回接種することをお勧めします。

副反応
一回目の接種で発熱22%、発疹6.6%が接種後7〜10日目ぐらいに多くみられます。2回目の接種ではともにその割合が減少し、発熱8.0%、発疹1.7%と報告されています。これらの副反応は、ふつう1〜2日でおさまるので心配ありません。

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水痘ワクチン(生ワクチン、任意接種)

水痘は「みずぼうそう」とも言われ、水痘-帯状疱疹ウィルスの初感染で起こる感染症です。健康な小児の場合は軽症で済むことがほとんどですが、中には遷延化、重症化することもあります。合併症として、肺炎、気管支炎、肝炎、小脳障害、心膜炎、血小板減少性紫斑病などがあります。白血病などの免疫不全状態の方が罹患すると重症化し死亡することもあります。また、妊娠20週までの妊婦が水痘に罹患した場合は先天性水痘症候群(四肢低形成、脳炎、筋萎縮、小頭症)のこどもを出産する可能性があります。出産前後の妊婦の水痘罹患では、お母さん自身も出生児もともに非常に重症になることがあります。また、水痘-帯状疱疹ウィルスは治癒しても神経節というところに潜伏感染(体の中に潜んでいる)し、加齢や免疫低下の時にウィルスが再活性化し、帯状疱疹を起こすことがあります。
※2014年10月から、1歳から3歳まで(3歳の誕生日の前日まで)の児を対象に2回の水痘ワクチン接種が、定期接種化(公費負担)されました。副反応のほとんどないワクチンですので、自費になりますが、3歳以降の児も2回接種することが推奨されます。


接種スケジュール
ワクチンスケジュール
1歳以降に接種できます。MRワクチンとの同時接種も可能です。しっかりとした免疫を付けるためには、1回目から2〜5年後に2回目を受けることが世界標準です。
水痘ワクチンの公費負担制度のなかった現在の日本では水痘はまだまだ普通にみられる疾患です。いろいろな研究から、日本小児科学会で示している水痘の推奨スケジュールは1回目が1歳から1歳3ヶ月頃、2回目は3ヶ月以上空けて、1歳半から2歳までにとしています。水痘ワクチンが当たり前の諸外国に比べて、2回の間隔は短い方が発症阻止には有効との考えからです。
1回接種で90%以上の抗体陽転率が認められていますが、それでもまわりで水痘が流行するとワクチン接種者の約20%の児が水痘を発症します。ただし、ワクチン接種後に発症した水痘の90%は発疹の数も少ない軽症タイプです。軽症であっても発症したくない場合は2回接種が必要です。
高齢者(帯状疱疹の発症や症状が半減するという報告あり)、免疫不全の患者さんの周りの家族、水痘に罹患していない成人(特に妊娠時の水痘罹患予防として成人女性、医療従事者)なども接種対象です。
水痘患者との接触後72時間以内にワクチン接種すると発症阻止できることもありますが、家族などでは既に発症前から感染の可能性があるため、間に合わないことも多く、確実な方法とはいえません。

副反応
軽微な副反応(発熱、局所の発赤腫脹)しか報告はなく、まれな副反応としてアナフィラキシーや血小板減少性紫斑病などが言われています。免疫不全などのハイリスク患者ではワクチン後の帯状疱疹の発症の報告があります。

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おたふくかぜ(生ワクチン、任意接種)

「流行性耳下腺炎」あるいは「ムンプス」とも言われます。ムンプスウィルスによる全身感染症です。不顕性感染も多いのですが、不顕性感染者からも感染は起こります。潜伏期間は2〜3週間、多くは約18日間の後に片側、あるいは両側の耳下腺の腫脹、圧痛で発症します。その後3〜7日、時に10日も耳下腺腫脹は続きます。小児では発熱はないか、あっても3日程度ですが、成人では時に一週間にもおよび、精巣炎や卵巣炎、膵炎などの合併も高率になり、小児期に比べ一般に重症化します。また髄膜炎がおたふくかぜ患者の1〜2%に発症すると言われていますし、難聴も500〜1000人に一人と高率に発症の可能性があります。抗体陽転率は95%程度、予防効果は80〜90%と言われています。ただし、ワクチン接種後のおたふくかぜ罹患は、ワクチン歴のない場合に比べて、両側とも耳下腺が腫れる割合は低く、腫脹期間も短く、髄膜炎合併率は1/10程度に低下するなど、軽症化の効果がみられます。


接種スケジュール
このワクチンも水痘と同様に、2回接種した方が確実におたふくかぜの発症を阻止できます。1回目から4〜5年してから2回目を接種することが世界標準です。MRワクチンのあとに、なるべく早期に接種。MR、水痘ワクチンとの同時接種も可能です。

副反応
発熱、局所の発赤、耳下腺腫脹(1〜3%)などが起こることがありますが、一般に軽微で一過性に経過します。ワクチン接種後2〜3週間後に発熱、頭痛、嘔吐などの髄膜炎症状が現れることがあります。1500〜2000人に1人と報告されています。(実際に感染するよりもはるかに少ない頻度です。)この場合の予後は良好で自然治癒します。

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日本脳炎(不活化ワクチン、定期接種)

日本脳炎ウィルスは、名前の通り感染すると脳に侵入し脳炎を起こします。ウィルスにより脳細胞が破壊され、意識障害、麻痺、けいれんなどを引き起こし最終的に死に至る病気です。脳炎を発症すると約1/3の患者さんが死亡、約1/3の患者さんに重い神経系の後遺症が残ります。ヒトからヒトへの感染はありませんが、コガタアカイエカがこのウィルスを持ったブタを吸血すると蚊の体内にウィルスが侵入し、その蚊がヒトを吸血するとウィルスがヒトに感染します。このウィルスに感染しているブタは関西から西の地域に多く、日本脳炎の患者数も中国地方や九州地方から多く報告されています。他に中国、インド、韓国、ネパール、タイ、ベトナム、台湾、インドネシア、マレーシア、スリランカなどのアジア地域も日本脳炎流行地域と言われています。


接種スケジュール
日本では3歳以降に1期(1〜4週間隔で2回、4週間隔の方が免疫獲得は良いと言われている)と約1年後に追加免疫を1回(各0.5ml)します。さらに9〜13歳の間に2期の1回を追加します。ただし、流行地域への渡航前などには3歳未満のお子さん(生後6ヶ月以降ならば可能)でも接種することができます。その場合、接種量は1回0.25mlとなります。
以前はマウスの脳由来のワクチンを使用していました。このワクチンにより神経学的な副反応が報告され(ワクチンとの因果関係は不明)、積極的なワクチン接種をしない時期がありました。このため定期接種を受けていない児も多くいます。2011年5月より、この間に接種できていない回数の日本脳炎ワクチンを20歳までであれば公費で接種できるように法改正されました。公費で接種できる年齢枠が広がりましたので、接種しておくことをお薦めします。
規定どおり接種できなかった場合でも、第1期の3回分を接種したあとは、5年から10年程度は脳炎発症を予防できる抗体が維持されることが期待されています。したがって、4回目は5年ほど間隔をあけて接種すれば良いことになります。

副反応
発熱が5〜10%、局所の発赤、腫脹などが2〜5%出現すると言われています。

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子宮頸がん予防ワクチン(不活化ワクチン、定期接種)

日本では年間1.5万人の女性が子宮頸がんを発症し、3500人がこのがんで死亡しております。近年急増しており、特に20〜30代女性のがんでは一番多いがんです。子宮頸がんはヒトパピローマウィルス(HPV)の感染で発症します。HPVはありふれたウィルスで性交渉で簡単に感染します。性経験のある女性の約80%は生涯に一度はHPVの感染を経験していると言われていますが、感染しても90%は2年以内にウィルスは排除されます。しかし、自然感染では十分な抗体ができず、何度でも繰り返し感染してしまいます。2023年4月現在、日本で接種できるHPVワクチンは3種類あります。3種類のワクチンはそれぞれ、2価ワクチン、4価ワクチン、9価ワクチンと呼ばれており、2価ワクチンはHPV16型と18型の2種類に有効であり、4価ワクチンはHPV6型、11型、16型、18型に有効です。どちらも、子宮頸がんの原因であるHPV16型、18型の感染を予防でき、子宮頸がんの前がん病変をほぼ100%阻止できます。ただし、子宮頸がんの原因はこの型以外にもあるため、実際には子宮頸がんの60%ぐらいを予防できるとされています。9価ワクチンは4価ワクチンに加え5つの型(HPV31、33、45、52、58型)に対応するため、子宮頸がんの原因となるHPVの約88%をカバーすることになります。有効性、安全性から考えて、全女性が接種対象となりますが、効率よく子宮頸がんを予防するにはHPV感染以前の年齢と考えられる10歳代前半女児への接種が有効であり、欧米ではこの年齢に優先接種としています。HPV6型, 11型は子宮頚がんではなく、尖圭コンジローマという性器や肛門の周りにできるイボの原因ウィルスとして知られており、日本では年間4万人ほどが罹患しているといわれています。その約半数の2万人が女性の患者さんです。尖圭コンジローマに対して4価ワクチンの予防効果はほぼ100%です。
日本では2価ワクチンは2009年から、4価ワクチンは2011年から、9価ワクチンは2020年から利用できるようになりましたが、いずれのワクチンも世界中100カ国以上の国で既に認可され、安全性が確認されています。

3回の接種で、20年以上の有効性が推計されていますが、現時点で証明されている感染予防は7年間です(利用されるようになってからの日が浅いため)。自然感染の数倍量の抗体を12年間維持することも証明されています。

当院では小中学生にはもちろん接種しますが、成人の方、お母さん方にも接種しております。ただし、前がん状態になってしまってからはワクチンの効果はありませんので、Sexual activityの高い20〜30歳代の方は、検診を受けてからの接種をお勧めしています。
※原因が特定されていない身体の痛みが子宮頚癌ワクチン接種後に起こることが報告され、2013年6月より、積極的には勧めないという厚労省の判断が続いておりましたが、頸がんワクチンとの因果関係が否定され、やっと2022年4月より、接種勧奨が再開されました。当院でも接種される方が増えてきています。公費負担で接種できる期限があります(2006・2007年度生まれの方は、通常の接種対象の年齢(小学校6年から高校1年相当)を超えても、令和7(2025)年3月末まで接種できます)ので、希望者はご注意下さい。(また、通常のHPVワクチンの定期接種の対象年齢の間に接種を逃した方で誕生日が1997年4月2日〜2006年4月1日の女性には2025年3月まで公費で接種する機会が設けられています(キャッチアップ接種)。せっかくの機会ですから接種されることをお勧めします。)


接種スケジュール
3種類のワクチンとも2023年4月から小学校6年生から高校1年生相当の女性に公費接種が開始されました。いずれの接種も筋肉注射を行います。どちらも推奨年齢は11〜16歳ぐらい。(日本では中学高校生相当年齢)
2価ワクチン:10歳以上の全女性を対象に、合計3回、初回の1ヶ月後に2回目、初回から6ヶ月後に3回目を接種します。
4価ワクチン:9歳以上の全ての人(女性も男性も)を対象とし、合計3回、初回の2ヶ月後に2回目、初回から6ヶ月後に3回目を接種します。ただし男性に対する公費負担制度は現時点ではありません。HPV感染は男女間で感染を繰り返すため、男女にワクチン接種をすることで感染の広がりを抑えることができます。男性のワクチン接種の目的は、男性本人のHPV感染による病気(尖圭コンジローマ、肛門癌)を予防することです
9価ワクチン:9歳以上の全女性を対象とし、合計3回、初回の2ヶ月後に2回目、初回から6ヶ月後に3回目を接種します。ただし、9歳以上15歳未満の女性は、初回接種から6〜12ヵ月の間隔を置いた合計2回の接種とすることもできます。
※9価ワクチンの定期接種化が2023年4月から始まったので、接種方法等がやや複雑になっています。
1回目接種が15歳未満で開始する場合は原則2回、間隔は6ヶ月。ただしこれまで通り3回でも構いません。その場合は、2回目は2か月後、3回目は6か月後に接種します。
キャッチアップの方も、3種類どのワクチンを選んでも公費で接種できます。すでにガーダシル(4価ワクチン)を1回あるいは2回接種している方も、残りの回数分をシルガード(9価ワクチン)に変えて接種しても構いません。この場合でも9種類全てのウィルスに対する抗体価の上昇が確認されています。


副反応

筋肉注射であるために、局所の疼痛(90%)、発赤(47%)、腫脹(43%)の発症頻度は高く、他に疲労感(36%)、筋痛(35%)、頭痛(30%)、胃腸症状(14%)、関節痛(13%)、発熱(7%)、発疹(8.5%)などが認められています。


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インフルエンザワクチン

2024/25冬シーズンのワクチン株は
*A/ビクトリア/4897/2022(IVR-238) (H1N1)pdm09
*A/カリフォルニア/122/2022(SAN-022) (H3N2)
*B/プーケット/3073/2013 (山形系統)
*B/オーストリア/1359417/2021(BVR-26) (ビクトリア系統)
例年通り、A型株2種、B型株2種の合計4種類の株を使用した4価ワクチンです。A (H3N2)型株のみが2023/24シーズンから変更になっています。残りの三つは前シーズンと同じ株です。
昨シーズンは、3シーズンぶりに日本で冬の流行がみられました。A型の流行が先行し、年明けからB型の報告が増えました。人の移動の制限がなくなったため、今年の夏場もインフルエンザA型が小規模に流行しておりました。今シーズンの冬場も新型コロナ感染症の流行前と同じようなインフルエンザの流行がみられることが予測されます。インフルエンザワクチン接種をすることで、一人ひとりの発症リスク、重症化リスクを減らし、学校、保育園等での流行を防ぐ予防対策が推奨されます。

インフルエンザについて:
誰もが耳にしたことのある有名なウィルスで、日本では毎年冬から春先にかけて流行します。しかし、世界的に見ると、けして寒くて乾燥した時期に流行するとは限らず、日本でも沖縄では夏にもインフルエンザの流行はみられますし、2009年の新型インフルエンザも5月から世界(とくに夏の北半球)で大流行しました。いつ流行してもおかしくないウィルスです。幸い、この新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)も2011年4月から季節性インフルエンザと同様の扱いとなり、名称も「インフルエンザ(H1N1)2009」と変更になりました。要するに「2009年に出現したH1N1型のインフルエンザ」ということです。
インフルエンザには大きく分けてA型、B型、C型と3種類あります。もっとも変異を起こしやすく、大流行が問題になるのがA型です。B型の流行は散発的で、変異も起こしにくいのですが、症状はA型同様で、時に重症化します。C型は、いわゆる風邪として認識され、一度かかると長期間免疫が持続するために、再び罹ることはほとんどないと言われています。問題のA型ですが、過去に大流行し、スペイン風邪(H1N1)、アジア風邪(H2N2)、香港風邪(H3N2)、ソ連風邪(H1N1)などと呼ばれています。H(ヘマグルチニン)とN(ノイラミニダーゼ)というのは、インフルエンザウィルスの表面にある突起状のタンパク質であり、これまでにHは16種類、Nは9種類知られています。ちなみに、よく話題になる鳥インフルエンザはH5N1です。
インフルエンザが他のウィルスによるかぜと異なり、感染症として重要視されるのは、大流行しやすいことと、脳炎や肺炎などの合併症を起こしやすいことなど、普通のかぜとは違う側面を持つことからです。

インフルエンザワクチン:
インフルエンザワクチンは接種を受けてもインフルエンザに罹患することがあります。せっかく接種したのに残念な気持ちになりますが、発症予防を大きな目的としているのではなく、あくまでも重症化予防を目的とするワクチンと認識されるようになりつつあります。特に子どもの場合、インフルエンザワクチンの予防効果は他のワクチンにくらべて低いとされています。幸いインフルエンザに罹患しても、利用できる治療薬の種類は増えてきました。ただし、これまでのところ、治療薬によって恐ろしいインフルエンザ脳症の発症を減らすまでには至っていません。もちろん、ワクチン接種をしてもインフルエンザ脳症になってしまうこともありますが、インフルエンザにならなければ、インフルエンザ脳症にはならないので、やはりリスクは減らせると考えれば良いと思います。特に保育園や学校などの集団生活をしている児にとっては、他に良い予防法はなく、やはりワクチンが予防には有効です。


接種スケジュール

インフルエンザウィルスは毎年少しずつ変異しながら流行を繰り返しています。また、ときにH1N12009のような新しい型も出現します。日本での流行は12月から3月頃が多いので、少なくとも12月中旬までに接種完了しておくことが、予防の理にかなっています。したがって、2回接種の場合は、10月と11月に一回ずつ、あるいは11月と12月に一回ずつ接種しておくことが、お勧めです。
また、日本のインフルエンザワクチンの発症予防効果はおよそ5ヶ月程度とされていますので、毎年接種が必要となります。世界では2年目以降は一回接種としている国もあるようですが、日本では13歳未満は2年目以降も2回接種が勧められています。



副反応

注射部位の紅斑(40〜80%)、注射部位の熱感、腫脹(15〜70%)、注射部位の疼痛(13〜60%)、倦怠感(10%)、発熱(5〜10%)
【卵アレルギーについて】
インフルエンザワクチンは、製造段階で鶏卵を使用しているため、ごく微量の卵白成分が残っています。したがって、強い卵アレルギーのある場合は、皮内テストや分割接種を勧めています。こういった方法でも、全てのアレルギー反応の予測、予防は困難ですが、より安全に接種できると思います。卵によるアナフィラキシー既往のある場合は接種不適当者となります。


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髄膜炎菌ワクチン

髄膜炎菌感染症
世界中で年間50万人が髄膜炎菌感染症を発症し、5万人が死亡しているといわれている恐ろしい細菌感染症です。アフリカのサハラ砂漠以南の髄膜炎菌ベルトと呼ばれる地域では、現在でも流行していますが、先進国でも散発的に発生しています。特に侵襲性髄膜炎菌感染症の劇症型といわれる状態になると、発症からの病気の進行が早く、あっという間に手遅れになってしまうこともあります。鼻咽頭などに存在しており、ヒトからヒトへ飛沫感染しますが、日本での健康者の保菌率は0.4%と、欧米の5-20%とくらべて低頻度で、国内では年間数十例の発生です。現在日本で利用できる髄膜炎菌ワクチンは4種類の髄膜炎菌に対し有効ですが、血性郡Bといわれるタイプの感染予防はできません。さしあたって日本では寮生活をする10代の人たち、何らかの免疫抑制状態にある方、海外への留学予定者などが接種対象となります。 米国では定期接種化されており、サマーキャンプや留学に参加する場合は接種を求められることもあります。


接種スケジュール

0.5mlを1回筋肉注射します。日本での臨床試験は2-55歳を対象としたため、この年齢の方が接種対象です。米国では11〜12歳に1回目の予防接種をすることが推奨されています。その後、16歳で追加接種をしています。



副反応

頻度が多い副反応は筋肉注射のため、頭痛、筋肉痛、倦怠感、発熱などです。


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ワクチン接種後の注意
Q. 「どれをどんなタイミングで接種したら良いのでしょうか?お勧めプランは?」
 
A. 「ワクチンには公費でまかなう定期接種と自費がかかる任意接種があります。母子手帳に定期接種のスケジュールは書いてあります。金銭的な負担を度外視したお勧めプランは、生後2ヶ月より、DPT-IPV-Hib(五種混合)肺炎球菌、B型肝炎、ロタウィルスワクチンなどを開始します。BCGは、周りに結核の方がいなければ生後6ヶ月過ぎと、少し遅くなって構いません。1歳すぎたらMRワクチン、水痘、おたふくかぜワクチンの接種をし、その後、DPT-IPV-Hib、肺炎球菌、などの追加ワクチンを済ませましょう。水痘ワクチンは可能ならば1回目から6ヶ月以上過ぎたら、なるべく早期に2回目を。3歳過ぎたら日本脳炎ワクチン、5歳過ぎ年長さんの年齢になれば、MRワクチン、おたふくかぜなどの2回目接種。小学校に入る頃にはDPTとポリオの追加接種が推奨されています(任意接種)。小学校4、5年生で日本脳炎の2期。女の子は10歳過ぎたらヒトパピローマウィルスワクチン接種、小学校6年生でDTワクチンといったところでしょう。
転勤等で海外での生活となる場合は、赴任先情報を集め、日本脳炎の早期接種、A型肝炎、狂犬病ワクチンなど推奨される場合があります。必要なワクチンを接種してから渡航しましょう。
米国などに留学するならば、髄膜炎菌ワクチンも追加しておいたら良いと思います。」


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